これは今から100年以上も前のお話……。
僕は誰?
僕は一体何者なの?
僕は生まれて間もなく上海で売られた。
母親にたった1ドルで。
だから、僕の名前はワン・ダラー。
そんな僕を世界一周をする豪華客船ヴィクトリーのコックであるボブが引き取って育ててくれた。
そのボブの口癖が、「自分の足で歩め。知らないことを知れ。それを恐れるな」だった。
そんなボブだったが、僕が15歳の時にお酒の飲みすぎで亡くなった。
そして、そのことがきっかけで、僕は船内で知り合ったお金持ちのニックとサンフランシスコで船を下りた。
その後、チャイナタウンの中華料理店の店主・マーさんや恋人のキャサリンの支えもあり、僕は幸せな生活を送っていた。
しかし、なぜか日々募る思い。
僕は誰?
僕は一体何者なの?
そして、船を下りて5年後のこと、遂に僕はキャサリンを連れて上海に旅立った。
「本当の自分」をさがすために……。
この作品は1900年以前を舞台にした作品です。
当時のアメリカ社会や世界情勢を念入りに調べましたが、書くのをやめました。
読む人の想像力のジャマになると思って。
それでも、ところどころで当時の空気感を感じてもらえると嬉しいです。
他にも世界を舞台にした作品が多々あるので、今後発表したいと思います。
目指せ、世界。
目指せ、ハリウッド。
2008年作。