カバの子どものペンタは、とっても食いしんぼう。
どうぶつ村1ばんの食いしんぼう。
とくに、あまいものが大すき。
ひまさえあれば、おかしをパクパク。
ケーキをパクパク。
くだものもパクパクしています。
おかげで、体もすっかり大人のように大きいです。
そんなペンタがとつぜんおなかが痛いと、大さわぎ。
いつもの食べすぎだと思って、くすりを飲ませましたが、ききません。
しかたがなく、ヤギ先生がペンタの口の中に入って、原因を調べてみると……。
これは本来絵本向きの作品ですね。
そんなイメージで書いたと思います。
ただ絵が壊滅的にヘタなので……。
初期の頃の作品なので、イメージと勢いで書いた感じがします。
今ではあまり書けないような作品。
貴重です。
1998年作。
ぼくのママは、まほうつかい。
パパもだれも、しらない。
ぼくだけが、しっている。
ママは、まほうでぼくのびょうきをなおしてくれる。
おいしいりょうりを作ってくれる。
たのしいゆめも見させてくれる。
そう。
ママはまほうで、ぼくをしあわせにしてくれるんだ。
「痛い痛いの、飛んでけ~」とか、「チチンプイプイ」とか、昔のお母さん達がよく子供に言っていた言葉。
何となくその言葉を聞くと、不思議と痛みが治まって泣き止んだり、何となくそれまでと何かが変わったりしたように感じたものです。
頭を優しく撫でられたり、ギュッと抱き締められたり、目をじっと見つめられて褒められたり。
子供の頃にこうした貯金がたくさんあれば、悪いことをする大人にはならないような気がします。
2002年作。
「もうだめだ……」
ノラ犬チビは、路上をフラフラ歩きながらつぶやきました。
もう3日も何も食べていません。すっかりおなかが空いて、何だか意識も遠のいてきました。
「もうおしまいか、僕も……」
その時です。車道の向こう側に、大きな邸宅があり、しかも門が開いているのが見えました。
チビが残りの力を振り絞って歩き始め、門を抜けると、台所からおいしそうなパンのにおいがしてきました。
チビは台所に入り、テーブルの上によじ登って、小麦色のパンをくわえました。
「ミー君! ミー君じゃないの!」
振り返ると、そこにはつえをついたお婆さんがいました。
そして、チビを抱き上げ、涙を流しながらギュッと抱き締めました。
チビはというと、何が何だかわからずに、パンをくわえたままポカ~ンとしてしまいました。
すさんだ生き方をしてきたノラ犬チビが認知症を患い、死期も迫ったお婆さんと偶然に出会うお話。
これはお婆さんが認知症だったからこそ、チビは救われました。
でも、そんな奇跡的なことはやはり起こりうるわけで……。
生きていればこそ、「出会い」の奇跡はいつか起こります。
自分のこの先に光が差すような。
そんなことを描きたかった作品です。
2009年作。
ぼくのパパは、いそがしい。
いつもしごとで、いそがしい。
ぼくがねているときにかえってきて、ぼくがねているあいだにいえをでて……。
だから、ぜんぜんあえない。
おなじおうちにすんでいるんだよ。
それなのにさ。
もしかしたら、パパ、ぼくのこときらいなのかなあ。
いぬのチビスケにそのことをはなすと、
「パパのまくらでねてみたら? そうすれば、パパのきもちがわかるかもよ」
といった。
「『まくらまっくら。パパのきもちがしりたいな』って、いのるんだ」
とおしえてくれた。
ぼくはパパのまくらをもちだして、さっそくやってみた。
まくら、まっくら。パパのきもちがしりたいな……。
これは枕と夢のお話。
ま、私は個人的に枕が変わると、熟睡できませんが。
まくらとまっくら。
何となく言葉が似ていて面白いな、と思って書いた作品です。
2009年作。