ハタチの俺は普通の大学生。
特別やりたいこともないし、現状で充分満足している。
だから、何かにチャレンジしたいとは思わない。
そもそも全力で頑張ることはしない。
今までだって、全て程々に頑張ってきた。
例え失敗しても、自分にも他人にも言い訳できるから。
本気じゃないから、って……。
傷つくことは嫌だし、ずっとそうやって自分自身を守って生きてきた。
そんな俺にも彼女がいる。
同じ学部のまお。
まおとは、入学式で偶然隣同士になって知り合い、すぐに意気投合して付き合った。
俺が言うのもなんだが、まおは大学の中で1番可愛いと思う。
結婚したいとも思っている。
勿論具体的に考えている訳ではなく、それくらい大切だし、好きだということ。
まおは「そんな大事なこと、簡単に口に出さないで」と珍しく機嫌を損ねてしまったけれど。
でも、俺の気持ちは本気だ。本気で結婚したいと思っている。
ある日の夜、バイト先のカフェからアパートに帰る途中、何気なくズボンのポッケに手を突っ込んだ俺は、妙なものを発見した。
1本のチュッパチャプス。しかもまおのお気に入りの抹茶ラテ味。
全く身に覚えがなかった。
その後も俺のズボンの右ポッケには、チュッパチャプスは勿論、ガムやレストランやカフェのレシートなどが入っていた。
そして、俺はそれが全てまおのものだということに気付いた。
俺のポッケとあいつのポッケが繋がっているなんて……。
そして、そのことがきっかけで、俺とまおには大きな試練が訪れることになり……。
久し振りの大学生が主人公の物語。
きっかけは、ある日、ポケットに入れたはずのカギが見当たらなくなったこと。
もしかして、誰かのポケットに瞬間移動したのかも……。
と、本気で思ってしましました。
もっとも、勘違いでしたけど。
でも、もしかしたら……。
そんなくだらないことを冗談半分で考えていたら、何となくストーリーが出来上がりました。
大学生の頃、一体何を考えていたんだろう……。
そんなことを思いながら、意外と楽しい気分でサッと書き上げました。
ま、あんまりたいしたことは考えていなかったと思いますが。
この作品は今年書いたものです。
急遽予定を変更して、2月に出版しました。