安田平太は30歳。牛乳瓶の底のような分厚いメガネをかけていて、髪はボサボサ。
小学校の先生に憧れて、大学卒業後アルバイトをしながら教員採用試験を受けていますが、毎年落ち続け、未だ先生になれずにいます。
そんなある日、平太に1通の手紙が届きました。手紙にはこう書かれていました。
あなたを先生として採用します。
やったね。
つきましては、至急たんぽぽ小学校にいらしてください。
早く来ないと、採用を取り消しちゃうぞ。
それじゃあね。
喜びも束の間、平太は急いで山里にあるたんぽぽ小学校に向かいました……。
恩師となるタヌキ校長との出会い。
6年生のシズ・つよしとの交流。
30年前にたんぽぽ小学校で起こった悲劇。
明かされた真実。
そして、2人の生徒の卒業式。
別れ。
旅立ち……。
平太はこれらを経て、1人の教師として、または1人の人間として大きく成長するのでした……。
この作品は、不器用で頼りないものの、小学校の先生になることが夢だった1人の男が、ある日突然、小さな小学校の6年生の担任になり、生徒と真剣に向かい合うことで成長していく過程を描いています。
調べてみると、2007年に書いた作品で、確か、初めて書いた長編でもあります。
勢いだけで一気に書き上げた記憶があります。
そういう意味でも、とても思い出深い作品です。