6月のある日のことです。
雨がしとしと降っています。
昨日も今日も。
このところずっとです。
「よく降りますねえ」
ベランダにぶら下がっているてるてる坊主が言いました。
「そうですねえ」
ベランダの手すりに座っているかたつむりが言いました。
「ぼくは雨がきらいです」
てるてる坊主はそう言って、うらめしそうに雨空を見上げました。
かたつむりはというと、雨が好きです。
でも、つのをニョキッと出して、てるてる坊主と一緒に空を仰ぎました。
そんなふたりの友情物語。
こういうほのぼのしたお話は、作っている時も書いている時も優しい気持ちになれます。
きっとその時の自分の心の健康状態もいい時なのでしょう。
やっぱりね、そうじゃないと書けません。僕の場合。
2007年作。
た、大変です。
動物園が大変なのです。
お客さんがぜんぜん来ないので、へいさするかもしれないというのです。
カラスくんの提案で、動物の親たちは街に出てアルバイト。
自分の食事代をかせぐためです。
一方、留守番の子どもたちはというと、なぜかみんなででんぐり返しをして……。
でも、それが思わぬ反響になって……。
動物園の動物達って、野生の本能は持っていると思いますが、野生では生きていけませんよね。
そして、一生エサをもらいながら、保護されながら生きていく。
その点、カラスは自由です。
でも、自由だからこそ、常に危険と隣り合わせで生きている訳で……。
何か哲学的になってきたので、この辺で。
2009年作。
ユキオ君は、学校が大好きな小学校5年生の男子。
ユキオ君は太っちょです。だから、運動が苦手です。それに、勉強もあまり得意ではありません。
それでも、いつもニコニコ笑っていて、クラスみんなの人気者です。
ちなみに、あだ名は「ゴン」です。
そんなユキオ君が小学校に登校する際、横断歩道を渡っている途中、交通事故にあってしまいました。ちゃんと手を挙げて渡っていたのに……。
天国に旅立ったユキオ君は、朝から晩まで泣き続けました。天国の神様はホトホト困ってしまい、特別にユキオ君をもう一度だけ地上に帰しました。白い犬に姿を変えて……。
時々どうしても書きたくなる哀しいお話。
「別れ」や「死」。
辛いけど、生きている以上、避けては通れないこと。
そして、それらを何とか乗り越えていかなければいけない。
その時はやはり、「時間」や「仲間」がその哀しみを癒してくれるのだと思います。
2006年作。
10歳のまおちゃんは、大好きなママの誕生日にクリーム色のマフラーをプレゼントしようとしました。
でも、毛糸は買ったものの、まおちゃんはあみ物ができません。
ある日、自分のお部屋で学校の宿題をしている時、丸い消しゴムが転がって、押し入れに入ってしまいました。
そして、そこには指くらいの小さなマフラーと1ぴきのくもさんがいました。
マフラーはくもさんがあんだものです。
まおちゃんはくもは苦手でしたが、あまりにもそのマフラーがすてきだったので、くもさんにあみ物を教えてくれるように、しんけんな顔で何度もたのみました。
こうして、まおちゃんはコーチのくもさんに教えてもらいながら、マフラーを完成させました……。
母の影響でしょうか、昔からむやみに生き物を殺すのはちょっと……。
勿論ゴキブリや蚊などは殺しますが。
それがモチーフになったお話です。
2009年作。