詩人が恋をしました。
相手は若くて無名ですが、才能豊かなバレリーナです。
詩人がいつも詩を売っている広場の噴水前のベンチで出会いました。
女性は詩人の詩がとても気に入りました。
特に「あなたの中に」という詩を何度も読み返していました。
実際、詩人の詩はとてもシンプルでわかりやすく、まるで言葉を大切に紡ぐような詩でした。
そして、とても温かく、読む人誰もが優しい気持ちになれました。
女性は背が高くて、髪も長く色白。
瞳は海のように澄んだ青色です。
それに、とても透明感ががって清楚で、とにかく美しい女性でした。
詩人は一瞬で恋に落ちました。
2度目の出会いは1か月後。
この日、女性は主役のバレリーナが病気のため、急きょ代役を務めることになりました。
そして、楽屋ではかなり緊張気味でしたが、詩人の作ったあの「あなたの中に」を何度も呟いて落ち着きを取り戻し、見事に舞台を成功させました。
そんな女性に、詩人はトゲのない1本のバラの花を贈りました。
もちろん、名前を告げずに……。
これは自分でも珍しい恋のメルヘンチックなお話。
その後離れ離れになりますが、バレリーナは詩人の詩を励みに努力を続け、世界的に有名なバレリーナになります。
一方、詩人はというと……。
ラストの2人の再会シーンは、チャップリンの「街の灯」を意識して作りました。
自分でも大好きな作品の1つです。
1999年(?)完成。