これから僕の昔話をしようと思う。
でも、これがとっても素敵な物語なんだ。
だから、じっと聞いてほしい。
いい?
ちなみに、君は神様はいると思うかい?
僕はいると思う。
でも、神様は時々いたずらをする。
それに、意地悪もね。
だから、ちょっと困るんだけど……。
弁護士の僕は今、傷害罪で逮捕された少女と接見している。
当初は心を閉ざしていた少女だったが、何度も足しげく通ううちに、やっと心を開いてくれた。
だから、話したんだ。
僕とおじさんとの出会い。
42歳まで字が書けなかったおじさんの人生。
おじさんとサキさんとのこと。
僕とマイちゃんとのこと。
そして、それにまつわる奇跡的な恋の物語を……。
これは、「僕」が字が書けない孤独なおじさんと出会って、人生が大きく変わっていくお話です。
でも、やはりそれ以上に一途な大人の愛の物語です。
長編のおとな文学です。
2012年完成。