かつてムジャキな子供だった人達への童話15(2022年9月出版)

おひさまのいねむり

 とてもおだやかな午後。

 あまりにのどかなポカポカ陽気だったので、森の動物たちはみんなで気持ちよさそうに、お昼ねなどをしています。

 と、その時でした。

 ズドドーン!

 とつぜん、地面がわれるほどのはげしい地ひびき。

 地面といっしょに、動物たちの体も上下するほどの、ものすごいものでした。

 なんと、おひさまがいねむりをして、空から落っこちてきたのです。

 さあ、それからが大変。

 森の動物たちがみんなでおひさまを元の場所に戻そうとするのですが…。


 空を見上げて、何となく「太陽が落ちてきたらどうなるんだろう」と、子供的な発想から生まれた作品。

 考えてみれば、童話というのはそうなのかもしれませんね。

 そういう気持ち、大切にしたいです。

 ずっとずっと。

 2009年作。

平和の鐘

 戦争が起こりました。

 それも長い長い年月。

 たくさんの人々が亡くなりました。

 そして、街がメチャメチャになりました。

 家も学校も病院も全部壊されました。

 建物ばかりではありません。

 人々の心までも壊されました。

 人々は悲しみました。

 苦しみました。

 たくさん涙も流しました。

 そして、すっかり笑顔を忘れた頃、戦争が終わりました。

 

 ある街に、唯一の教会がありました。

 そして、そこには街の自慢でもある100年以上前のステンドグラスがありました。

 しかし、教会もステンドグラスも戦争で粉々になりました…。


 「平和」って、決して綺麗事じゃないし、美化されるものでもない。

 だって、それを手に入れるために、どれほどたくさんの人達が犠牲になったのか。

 そして、それを守り続けるために、どれほど多くの人達が陰で尽力しているか。

 だからこそ、そのことを認識して、努力し続け、自分達ができるだけのことをして、次の世代にバトンをつなげていく気持ちがないと。

 大変ですって。平和を守り続けるのは。

 祈ったり、願ったりするだけで得られるものじゃないから。

 2006年作。

ふとんのなかのポカポカさん

 あるひのこと。

 おひさまが、ニコニコわらっている午後。

 ママがおふとんをほしていた。

「ねえ、ママ。どうしておふとんをほすの?」

 ぼくがきくと、ママは、

「こうするとね、おふとんがポカポカさんのおかげで、あたたかくなるのよ」

って言った。

 

 そのよる。

 ぼくはおふとんにはいった。

 ほんとだ。

 ママの言うとおり。

 おふとんはポカポカさんのおかげで、とってもあったかい。

 

 ところが、つぎのひのよるも、ポカポカさんのおふとんでねていたぼくだったが、ついオナラをしてしまった。

 しかも、とってもクサいやつ。

「クサいよ~! クサいよ~! たすけてよ~!」

 こうして、おふとんの中のポカポカさんは、どこかににげちゃった…。


 これも単純に、布団の中でオナラをしたら、中が充満してかなりクサかったのが作品のヒント。

 きっと書いた当時そういうことがあったんでしょう。

 昔過ぎて、思い出せませんが。

 発想がくだらな過ぎて、思わず笑ってしまいますが。

 まっ、でもよく書いたもんです(笑)。

 2008年作。

落ち葉

 秋の終わり。

 すっかり肌寒くなった昼下がり。

 今日は一段と冷たい北風がまるで口笛みたいに吹いています。

 そんな中、白いおヒゲをたくわえた1人のおじいさんが、空き地で黙々と落ち葉を拾っています。

 そして、それらを1か所に集めて、マッチで火を点けました。

 おじいさんは近くの石にどっと腰を下ろすと、じっと火を見つめながら、少しずつ落ち葉を足しました。

 すると、そこへ1羽のカラスが寒そうにやってきて…。


 秋は1番好きな季節です。

 何となく肌寒いのも好きですし、夜が長いのも好きです。

 夜が長い分、何となく心が静まるというか、落ち着く感じがして。

 で、その夜にスローな音楽を聴き、カフェでまったりとコーヒーをおかわりしながら、静かにゆっくりと書きものをする時間がとても好きです。

 もうすぐ秋。

 待ち遠しいなあ。

 ここ数年、気候変動の影響からか、秋が短いような気がします。

 とっても残念です。

 あっ、あと栗も好きです。 

 2011年作。