愛するあなたへ
今日は勇気を出して、手紙を書きます。
仕事のこと……。
純のこと……。
追伸
夢の中のあなたは優しすぎます。これじゃ、私は一生あなたから卒業できません。
これは妻の、亡くなった夫へのラヴレターです。
生前、夫の指定席だったテレビの前には、夫が肘を立てていた畳の跡が残っています。
そして、そこは今では息子の指定席になっています。
同じ場所に肘を立てて、そっくりな姿勢で。
書きながら、「愛はいいなあ」と思いました。
2008年完成。
私はナオミ。大嫌いな元靴職人の父が名前をつけた。
母は幼い頃に家を出て、私が働くようになってからは父と離れて暮らしている。
そんな私も、今は妻子ある男性と不倫関係にある。
誕生日の朝、父と偶然に出逢った私がプレゼントされたのは、父が作ったピンクのパンクスと明太子やすじこが入ったおにぎりだった……。
これはずっとわだかまりをもって、分かり合えない父と娘のお話です。
でも、やはりどこかで繋がっている。そして、そのことを言葉や態度で示さなくても、お互いに理解している。
特に、父と娘の関係は難しいようですが、その分情も深いように思います。
2002年完成。
8歳のぼくに、おばあちゃんが教えてくれた。
どうしておばあちゃんはシワがあるのか。
腰が曲がっているのか。
早起きなのか。
髪の毛が白いのか。
目が見えないのか。
いつも寝ているのか。
若い頃に戻りたいか。
そして、人生の意味も……。
ある程度の年齢になると思うものです。
もっと年配の方からいろいろなことを聞くんだった、と。
きっとそこには普段の様子からは想像がつかないくらいのドラマがあったはず。
長い年月を生きてきたからこそ感じたことがあるはず。
でも、話を聞いておきたかった多くの方がすでに亡くなってしまいました。
とても残念でなりません。
2013年完成。
子供のさきちゃんは思いました。
最近世の中は暗いニュースばかり。
だから決めたの。
明るく毎日を過ごすために、たくさん記念日を作ろう、って。
ディズニー記念日。
100点記念日。
明日も明後日も、たくさんいいことがあるといいなあ。
その後、大人になって、さきさんの記念日はいっぱいになっていきます。
そして、楽しいことばかりではなくて、辛いこと、悲しいことも自分自身を成長させるのに必要なことだと思うようになります。
女性は記念日をたくさん作りたがると感じたのが、この作品を作るきっかけでした。
でも、それは毎日をできるだけ楽しく、過去もできるだけ大切にしようとしているのではないか、と。
女性は男性よりも生きることの楽しみ方を知っていますよね。
2012年完成。