大人のための中くらいの物語2              (2014年7月出版・2019年11月再出版)

1枚のヌード写真

 写真館を営む石丸兵衛は決めていた。

 そろそろ店を閉めようと。

 ある日、店の後片付けを手伝っていた孫の純一が、棚の奥から一枚の古いセピア色した写真を見つけた。

 それは、戦時中に兵衛が撮った女性のヌード写真だった……。


 戦時中、思うような男女の交際が認められなかった時代のお話。

 既婚者でありながらも、戦地に行った好きな男のために、ただひたすらに無事を祈って写真を送る女性。

 やがて、そのことがバレてしまいます。

 そして、たくさんの時が流れて、その孫の女性が写真館を訪れます。

 悲しい物語かもしれませんが、最後の最後はホッとすると思います。 

 2008年完成。

食堂

 会社をリストラされた私は、家にも戻らず各地をさまよい、3か月後、雪国の田舎町にある1軒の食堂にたどり着いた。

 そして、3日間何も食べずに空腹だった私は、すっかり自暴自棄になり、無銭飲食をしようとした。ポケットにナイフを忍ばせて。

 しかし、食堂に入ると、80代の腰の曲がったお婆さんがいて……。


 これもオモいお話かもしれません。

 でも、そんな主人公にも必ず手を差し伸べてくれる人(?)がいて、心落ち着く場所がある。

 私達はそれを探し続けて、探し求めて、生きているんでしょうね。

 生きていくんでしょう。

 2006年完成。