リトル・コーチ         (2023年9月出版)

 大丈夫だよ。

 絶対に私が復活させてあげるから……。

 

 NFLのサンフランシスコ・49ナーズのエースランニング・バックのジョアン・ハンターが試合中に右足の前十字靭帯断裂の大ケガを負った。手術は無事成功したが、全治1年の重症だった。

 ジョアンはNFL屈指のランニング・バックで、身長が170㎝の小柄ながらも、圧倒的なスピードと華麗なステップワークで多くのファンを魅了し、10年間でラッシュ王5回、プロボウル選出3回、最優秀攻撃選手5回、NFLのMVPを3度受賞しているスーパースターだった。

 ジョアンは再びスタジアムに戻るため、サンフランシスコ郊外のリハビリ施設を完備した大病院で、この病院の整形外科であり、チームのフィジカル・トレーナーでもある親友のホーリーとともに、1年間懸命にリハビリに励んだ。

 しかし、ハードなトレーニングを重ねながらも、かつてのような燃え上がるような野心と、今までの自分のメンタリティーを支えたハングリー精神が消えかかっていると、自ら感じていた。

 それはケガを再発すれば引退さえ考えなければならない現状と、2年前に大切な一人娘のジュリアを病気で亡くした心の傷が影響していた。そして、娘の死後、妻のケイトとも離婚していた。

 そんなジョアンに最近熱心なファンが現れた。

 10歳の少女・ソフィアは病院の施設内のグラウンドで黙々とトレーニングをしているジョアンに対し、周囲に響き渡るほどのけたたましいホイッスルと共に、甲高くて黄色い大きな声で声援を送り続けた。

 しかも、時折耳を疑いたくなるような辛辣な言葉で。

 しかし、そのアドバイスは実に的確だったので、ホーリーは陰で彼女を「リトル・コーチ」と呼んでいた。

 そして、ソフィアは毎日のようにグラウンドに現れ、ジョアンに熱くて厳しいエールを送った。

 当初は嫌悪感を抱いていたジョアンだったが、次第に彼女の熱心さを受け入れるようになった。

 しかし、彼女自身も重い病気を抱えていた……。


 これはアメフトのお話。

 高学年向けの児童文学のつもりで書きましたが、ん~、どうなんだろう。

 やはり遠い夢の実現のためにも、外国のお話は作り続けていかなければいけません。

 そう思っています。

 この作品は今年書いたものですが、ベースはもう結構前からありました。

 やっと、「そろそろ書こうかな」と思い立って、書いた作品です。

 ん~、でもやっぱり児童文学にしたかったなあ。

 2023年作。