旅に出た。
ペルーの山間にある小さな町だ。
星がきれいに見えるというので、何となく来てみた。
そして、地元の安酒場で、私は隕石ハンターと知り合った。
「そんなに金持ちになりたいんですか……」
酔ってそう尋ねた私に、その男は、星となった亡き妻ともう一度会うために隕石を探しているのだと、真顔で答えた。
「旅に出た」の第2弾。
今回は隕石ハンターと出会うお話。
愛する妻と会うために、隕石ハンターとなった男。
どれくらい?
それは読んでのお楽しみです。
ということは……。
2014年完成。
父の命日、兄は父の位牌を持って、父が馴染みの焼き鳥屋に行った。
そして、カウンターで酒を飲む。
生きていた時は何も話すこともないと思っていた。
それなのに、死んだから無性に話が聞きたくなった。
いろんなことを……。
多分、多かれ少なかれ、父親を亡くした息子さんはこの物語を読んで共感してくれると思います。
実は、私もその一人です。
父が亡くなってからの方が父に語りかける回数が増えたと思います。
本当はそれではいけないのですが……。
2014年完成。
季節外れの浜辺。
少女が一人、貝殻を探している。
でも、なかなか気に入ったものが見つからない。
少女が探しているのは、「人魚の耳」という貝殻。
すると、そこへ少女の父親をよく知る髪の長い美しい女性が現れる。
そして、一緒に「人魚の耳」を探すことに……。
これは人魚と人魚を愛した男とその娘のお話です。
自分でも珍しい男女の愛のメルヘンチックなおとぎ話です。
できるだけ言葉を除いた詩のような、シナリオのような物語です。
ちょっと実験的な作品です。
というか、もともとは短編のシナリオだったのですが。
2001年完成。