絵のない絵本2        (2020年8月出版)

まあるい まあるい ころころさん

 まあるい まあるい ころころさんは、あっちにコロコロ。

 こっちにコロコロ。

 コロコロコロコロとまりません。

「だれか、ぼくをとめて~!」

 それから、大きなワンコのしっぽのうえにとまって、ほえられたり。

 こうえんで、サッカーボールにまちがわれて、けられたり。

 もりでは、くまさんにおにぎりとまちがわれたり。

 もうコロコロコロコロとまりません。


 ころころさんは、きっと「忙しい現代人」の象徴なのでしょう。

 正直かなり昔の作品で、どういう想いで書いたのかわかりませんが。

 抽象的な「もの」を擬人化したお話は自分の中でも珍しいです。

 だからこそ、何でこういう発想が思いついたのか知りたいのですが……。

 ん~、全然思い出せない……。

 2009年作。

ヒゲ

 あさ、かがみをみて、ビックリした。

 ぼくのはなの下に、ヒゲがついている!

 まだねぼけているのかな?

 それとも、しらないうちに大人になっちゃったの?

 まだ子どもなのに……。

 どうしよう……。

 なんとかしなくちゃ……。

 そして、そろうとしたしゅんかん、ヒゲはピョンピョンにげだした。

 それから外に出たヒゲは、あっちこっちでいたずらをした。

 ぼくは、みんなとヒゲをおいかけた。

 こら、まて!

 にげるな!


 これは時々無性に書きたくなるフザケて書いた作品。

 だから、テーマも何もありません。

 ただただフザケたかっただけ。

 でも、久し振りに読み直してみると、やっぱりおもしろい。

 2011年作。

大工のチョー

 あるあさ、大工のチョーさんがゆうびんうけをみると、ツバメのおやこがすを作っていた。

「やれやれ、しかたがないな」

 チョーさんはのこぎりとかんなづちで少し大きめのゆうびんうけをつくりました。

 ギーコギーコ。

 トントントン。

 ギーコギーコ。

 トントントン。

 そして、つぎのひも、そのつぎのひも、どうぶつたちのために、チョーさんは大きめのゆうびんうけをつくりつづけました……。


 これは「おひさま」という月刊誌に投稿して、1次選考を通って名前がクレジットされた作品です。

 よく覚えています。

 賞はとれませんでしたが、何となく名前が載って嬉しかったなあ。

 本当はそれじゃいけないのですが。

 とにかく賞が欲しくて欲しくて、書いてはいろんなコンテストに応募していた頃です。

 1年で20作品以上も投稿した年もあります。

 いろんな面で誰よりもガムシャラで、強気で、それでいて弱気で、かなり無理を重ねた時期でした。

 懐かしいなあ。

 2001年作。

ぼくはシャツのくま

 ぼくは、シャツのくま。

 かわいいくまの絵だよ。

 ぼくのシャツをきているのが、しょうたくん。

 6さいの、とっても元気な男の子。

 お店のすみでうれのこっていたぼくをみつけて、かわいそうだと思って、ママにおねだりしてかってくれたんだ。

 それからは、ずっとしょうたくんといっしょ。

 でも、しょうたくんは日に日に大きくなって、ついにシャツがやぶれてしまったんだ……。


 これは「子供が大好きな絵柄のシャツがあったら、どうするんだろう」と思って書いたものか、ビッチビチな絵柄つきのシャツを大人が着ていて、ふと「大丈夫かなあ。破けるぞ」と思って書いたものか、どちらかと思います。

 後者だったら、かなり失礼ですよね。 

 2007年作。