グレッグ・ストロングは、大リーグ・ニューヨーク・ヤンキースのピッチャー。最多勝利投手、最優秀防御率のタイトルを合わせて5度、サイ・ヤング賞も3度獲得したこともある、文字通り大リーグを代表する大エースだ。年俸も高騰し、36歳のベテランなのにも関わらず、今年新たに3年45億円の契約を結んだ。
しかし、華やかなグラウンド上の活躍とは対照的に、私生活は多くのスキャンダルにまみれていた。酒と女癖が悪く、それが原因で2度離婚したり、バーで泥酔して友人への暴力事件を起こしたり。特に私生活を追いかけるようなマス・メディアに対しては、常に攻撃な態度をとった。
そして、ついたあだ名が「ミスター・ゴシップ」。
それでも、彼が多くのニューヨークのファンから愛されるのは、唯一無二の太々しい独特のキャラクターと闘志あふれるピッチングの素晴らしさからだった。
また、彼自身幼い頃に孤児院で過ごした経験もあって、長年慈善活動にも積極的で、ポケットマネーでホーム球場の年間シートを買い、恵まれない子供達を招待したり、クリスマスにはサンタクロースの格好をしてニューヨークの孤児院を訪れ、子供達一人一人にプレゼントを渡したりした。子供達にとって、彼は永遠のヒーローだった。
ところが、深夜、勝利を収め、馴染みのバーで飲んで、徒歩で自宅に帰る途中、グレッグは不幸にも交通事故に遭い、利き腕の右腕を失った。
失意と絶望の中、数ヶ月間も病院内の特別な個室に閉じ籠っていたグレッグだったが、マラソンの元オリンピックのゴールドメダリストで車椅子のボビー・リッチモンドと知り合う。
ボビーは引退後、世界各地の政情不安な地域を訪れ、マラソンをしながら平和を訴える活動をしていたが、アフガニスタンで地雷を踏んで両足を失った。
「あんた、夢はあるか?」
義足で懸命にリハビリに励み、もう一度アフガニスタンの地を走ろうとするボビーの言葉に、グレッグの中で何かが変わり始めた……。
これもかつて書いたシナリオを小説化したもの。
しかも、アメリカが舞台。
やはり、夢のためにも、世界を舞台にした作品を1年に1作品は発表しないといけないと思っての出版です。
それにしても……。
野球を扱った作品が多いなあ。
学生時代はサッカー部だったのになあ。
で、やっぱりメジャーリーグといえば、ニューヨーク・ヤンキース。
日本人選手は全員応援していますが、チームではどうしてもヤンキースを応援してしまいます。
ちなみに、エンゼルスの大谷選手もマリナーズの菊池投手も岩手県出身。
わりとのんびりした県から、2人のメジャーの選手が出るなんて……。
しかも、2人とも今年は大活躍です。
すごいなあ……。
2000年(?)作。