ポッカポッカの小春日和。
公園で2人の老人がベンチに座っていました。
2人は毎日この公園に現れ、会話を交わすこともなく、ただぼんやりと公園で遊ぶ子供達を眺めていました。
しかし、その後、なぜか1人、もう1人と姿を見かけなくなり……。
これはかなり古い作品。調べたら今から20年以上前ですねえ。
原稿用紙で3枚ほど。
きっかけは、集英社の「コバルト」の「ベスト・ショートショト」に投稿したもの。
賞はとれなかったのですが、「もう一歩の作品」で名前と作品名が載って、嬉しかったはずです。正直、その時の気持ちは思えていませんが。
だって、「コバルト」買いましたもん。未だにとってあります。
先日20年振りに見ました。何だか笑っちゃいました。
1996年作。
ある夜のことです。
街の「なかよし不動産」に1本の電話が入りました。
派手で細長くて、体がすっぽり入る、友達の家にくっついているみたいな家を探しているとのこと。
不動産屋さんは悩みました。
そして、実はその電話をくれたお客さんというのが……。
この時期は、とにかく書いて書いて応募していた時代ですね。
よくまあ、アイディアが浮かんできたなあと思うくらいに書きまくっていた頃。
特にこのような比較的短い童話をたくさん書いていました。
夜明けまで頭をかきむしりながら書いてたように思います。
でも、枚数で言えば、今の方が書いています。
お話はヤドカリとカタツムリと不動産屋さんをからめたお話。
我ながら発想が面白いと思いました。
2009年作。
大変だー!
大変だー!
大変だー!
パパとママが留守中に、家中の家電がケンカを始めたんだ。
冷蔵庫は湯沸かしポットと。
テレビはラジカセと。
扇風機はエアコンと。
掃除機は洗濯機と。
電子レンジは電話と。
とにかく、あっちもこっちもケンカがいっぱい。
早く何とかしないと、おうちが壊れちゃうよ~。
これは完全におふざけ気分で書いた作品。
「ラジカセ」なんて、古いですよねえ。まっ、うちにはまだありますが。健在です。
今回読み直すにあたり、やはり「ラジカセ」はそのままにしました。
1997年(?)作。
ケン坊はお父さんと2人暮らし。
お父さんのヒロシさんは俳優ですが、有名ではありません。
テレビや映画にも、ちょっとしか映りません。
だから、生活は裕福ではありません。
それでも2人はとても仲良し。
いつも一緒。
そして、ケン坊の夢は宇宙に行くこと。
しかし、ケン坊は病気になりました。
それも、一生治らない病気。
ヒロシさんはケン坊に隠れて泣きました。
泣いて泣いて泣き続けました。
これは悲しいお話。
短い中で、どうやって簡潔に、しかも悲しくも悲しいだけじゃない内容にしたいと思って書いた作品。
貧しくても、親思い、子供想いの親子が主人公。
そして、子供のために必死に演技する売れない俳優さん。
久し振りに読み直して、思わずグッときました。
2006年作。
昔、昔、遠い昔。
大きな大きなきょうりゅうがいました。
きょうりゅうは山より大きく顔も怖いので、誰も近寄ってはきません。
当然友達もいないので、いつも独りぼっちです。
でも、本当は心優しくて、内気な性格なのです。
そんなきょうりゅうに、口が悪く色鮮やかな七色の鳥がやってきては、いつもからかいます。
そんなある夜、きょうりゅうに友達ができました。
それは夜空に輝く大きな星でできたクマでした。
これは最後のシーンがまず頭に浮かんでからストーリーを考えたような気がします。
いかんせん、これも古い作品なので。
最後は、ケンカばかりしていたきょうりゅうと鳥が仲良く一緒に化石となって発見されます。
やはりいつも一緒にいるのは、ある意味で仲がいいとかを超えた深い縁なのかと。
2005年作。