僕は受け入れる。
僕に起こった全てのことを。
僕は受け止める。
もう泣いたりしない。
人のせいにしたり、神様を恨んだりもしない。
仕方がないこととして、全部受け入れる。
それが「生きる」ということだから。
ある程度長く生きていると、やはりこうなのかなあと思います。
そうなりたいとも、そうならなくてはとも思います。
とても短いですが、これも私の小説。
主人公の像は私の頭の中に描いていますから。
2019年作。
気が付くと、ボクは果てしなく広がる草原の上空をさまよっていた。
どうやらボクはチョウらしい。
でも、ちょっと変わった不思議なチョウだ。
薄紅色した渦巻き状の模様をしている。
ふと、1人の美しい少女が草原の中でしゃがんでいるのが見えた。
辛いことがあったのだろう。
顔を伏せて、必死に悲しみに耐えている。
そんな少女の、まるで生命が宿っているかのように艶めいている黒髪に、ボクはそっと羽を畳んだ。
そして、可憐なリボンとなった……。
私にとってもちょっと珍しい感覚の作品。
実は、これ、アイドルグループの歌を聴いて、思い浮かんだ作品。
時々こういうこともあります。
そう考えると、アイデアはその辺にたくさん転がっているように思います。
別に四六時中アンテナを張っている訳ではないですが。
2018年作。
A.Iが当たり前に一般家庭にも普及した時代…
A.Iのアイ君が我が家にやってきたのは、ちょうど僕の2歳の誕生日の時だった。
野球ボールより少し大きめの白い球体で、なぜかつぶらな瞳と眉毛があった。
以来、アイ君と僕はいつも一緒だった。
時には目覚まし時計になって起こしてくれたり、家庭教師となって勉強を教えてくれたりした。
アイ君はいつも実際の確率を数値に表して、的確にアドバイスしてくれた。
高校3年生になり、僕は進路のことで悩んでいた。
どうやってアイ君に話したらいいのか。
なりたい職業は決まっていたが、それはかなり無謀な挑戦だった。
でも、どうしてもチャレンジしてみたかった。
自分の全てを賭けてでも。
ある日、アイ君にそのことを話してみると、案の定コテンパンにその可能性まで否定されて……。
近い将来、きっとこうなるのでしょうね。
いや、実はもうなっているかも。
それでも、よく世間で言われているようなA.Iが悪いように人間を支配するようなことはないと思います。
多分。
きっと。
ちなみに、主人公の人間の名前は「ウエオ」です。
ちょっとふざけました。
アイウエオ。
2018年作。
ボクはまだ25年しか生きていないが、生まれてからずっと不幸と不運の連続だった。
それは他人からしたら、想像を絶するほどの人生だった。
大人は子供だったボクに言い続けた。
「運命は変えられる。努力は必ず報われる」
「人に親切にすれば、いつかは自分に還ってくる」
「いいことは続かない。悪いことも続かない」
全部大嘘だった。
ボクがそのことを証明してみせた。
そうだ。ボクが神になろう。
古来、日本では死んだらどんな人でも神になるという。
神になって、善良な人やひたむきに努力し続ける人に手を差し伸べて、悪人には罰を与えよう。
それ相当な報いを与えてやる。一生後悔するような。
そのためには、やはりボクが神になるしかない。
しかも、完璧な神に……。
イヤなこともいっぱいあります。
辛いことだっていっぱいあります。
思い通りにいかない時も、ついてない時も、足を引っ張られる時も。
人間だから、心が弱ったときはつい自暴自棄になることだって……。
でも……。
それでも、生きていくしかない。
歯を食いしばって頑張るしかない。
それでもどうにもならない時は……。
そんな時の、ちょっとした「気休め」になるような、そんな作品を書きたいと思っています。
私の母校のスローガン、「前へ」です。
2017年作。