ライジング・サン         (2020年10月出版)

 1963年。

 アメリカ・ロサンゼルス近郊。

 とある田舎町で……。

 

 僕達の家族は不思議な家族。

 13人もいるけど、血の繋がりは全くないんだ。

 パパのリックは牧師をしていて、若い頃にママのカーリーと全米中や海外で仕事をしていた時、家庭に恵まれない子供達を引き取って養子にしたのがその理由。

 だから、子供は11人いるけど、みんな実の子じゃない。

 それでも家族は家族。時々ケンカもするけど、普段はとっても仲が良い。

「いいかい。ここにいるみんなは、毎日同じ屋根の下で暮らして、同じ空気を吸って、同じ食事をしている。お互いをこんなにも想い合っている。確かに今は遺伝子や流れている血は違うかもしれないけど、もうすぐそれも同じになるはずだ。それに私達はみんな神の子だから」

 これがいつものパパの口癖。

「差別は心の病気」

 これもパパの口癖。

 11人の子供はというと……。

 ジュリア。

 フィリオ。

 ルビー。

 リチャード。

 ルイス。

 ヤン。

 キャロル。

 アンナ。

 トム。

 そして、僕はケン。

 ある夜、新しくもう一人の赤ちゃんが家族に加わった。

 名前はマリア。

 そして、彼女によって、僕達家族の運命が大きく変わっていった……


 自分の夢の実現のためにも、海外を舞台とした作品を1年に1回は出版し、新作も1作品は書こうと心に決めています。

 で、今年はこれ。

 かなり昔の作品です。もう20年前かあ……。

 でも、その割にはほとんど違和感なく読み直しました。

 当時の移民法や時代背景をかなり念入りに調べたような記憶があります。

 ただそればかり羅列すると、ただの自己満足になるし、押しつけがましくて、今の時代では想像もつかなくて困惑するので、ほとんど書かないようにしました。

 調べた資料のコピーだけが大量に残りましたが……。

 ま、いつもそんなもんです。

 でも、雰囲気に浸って書くのも大事ですから。

 2000年作。