丘の上の公園に、一本のソメイヨシノの木がありました。
この街に住む人々は、ソメイヨシノが大好きでした。
しかし、ソメイヨシノは自分の命がもう長くないことを知っていました。
そして、最後の春、花びらがあと一枚になった時、ソメイヨシノの前に一人のおばあさんが現れました。
これは桜の木と「さくら」というおばあさんのお話。
60年振りに再会して、それぞれの60年を振り返りながら、一緒にゆったりとしたひと時を過ごします。
とても優しい作品で、これを書き終えた時はとても嬉しかったと記憶しています。
2010年完成。
カメラマンのジンさんは、今日も愛用のカメラを持って、近所をお散歩中。
ジンさんがカメラを向けるものは、誰もがよく目にするありふれたものばかりですが、なぜかジンさんが撮ると、今まで見たことのないような写真になるので、ジンさんの写真は「奇跡の1枚」と呼ばれています。
今の時期は、とっても桜が見頃。
公園にあるたくさんの桜の木も満開に咲いています。
ふと、公園の隅っこに立っている桜の木で、1つだけぽつんと寂し気にうつむいている花びらを見つけてました。
「どうしたの?」
ジンさんは思わずそう尋ねてみると……。
この作品は今年の4月に作りました。
ちょうど前作の「がんばれ本舗」を表紙を作ろうと、公園の桜をカメラで撮っていた時にお話を思いつきました。
この作品は最後が2パターンありますが、迷って迷ってこっちの方です。
最後は自分の作品らしいなあと思います。
2017年作。
※今回、桜について書いた2作品をまとめて出版しました。
ちょうど東北地方では桜が満開だということもありまして。
「桜、さくら」は「かつてムジャキな子供だった人達への童話3」で、「奇跡の1枚」は「大人のための小さな物語0」で既に出版済みです。
完全な思い付きでの出版です。
たまにはこういうのもありかな、と。
で、これからもやろうかな、とも考えてます。
ウッシッシ。
表紙は以前撮った写真に、みずきさんに描いてもらった絵をくっつけました。
桜の花びらが1つ1つ違って、みんな楽しそうです。
本当にさり気ないものの、見ているこっちが笑顔になれる絵です。
きっと彼女のもっている穏やかで温かい空気感がみなさんにも伝わることと思います。