ぼくは、ちょっと変わってる。
自分ではそう思わないけど、みんながそう言う。
どうしてだろう。
ぼくはみんなとおんなじなのに。
ある日、落ち込んでいるぼくに、パパが望遠鏡を買ってくれた。
そして、言った。
「……実は、パパは宇宙人なんだ」
と。
「だから、お前はみんなと違うんだ。でも、気にするな。お前は宇宙人なんだから」
そして、ギュッと抱きしめてくれた。
かなり変わった男の子と父親とのお話です。
その父親が本当かどうかわからないですが、「パパは宇宙人だ」と告げるんです。「ママにも内緒だぞ」と。
でも、その一言で少年は変わります。
そして、大人になって宇宙飛行士になるという物語。
誰でも自分の人生を大きく変わった一言をもっていると思います。
大抵、それが大人からの一言だったりします。
だからこそ、大人の責任は重大だと思います。
2006年完成。
ユレテル……。
ベランダに干してある兄のワイシャツが、風で小さく揺れている。
東京に住んでいた兄が死んだ。あまりに突然すぎて、悲しみに浸ることもできない。
私は兄の遺品を整理するために、兄の住んでいたアパートに向かった。
そして、たくさんの兄の知り合いと出会って、私の知らない兄を知った。
もしも今自分が死んだらこうなるのかあ、と思いながら書いた作品です。
勿論、作品中の「兄」とは趣味も性格もまったく違いますが。
ほんとに?
多分。
と思う。
2009年完成。
僕の彼女のかすみ。
今時の女子高生のさえちゃん。
無口で引っ込み思案の月夜さん。
そして、男っぽい性格だけど、寂しがり屋のヨウコさん。
でも、4人は同じ女性。
そう、僕の彼女は多重人格障害。
かすみが倒れた。
そんな僕に担当の精神科医が残酷な告知をした。
これはメルヘンチックな男女の作品となっています。
実際こういうことはあり得ないと思いますが、それでも当時、優しく温かい恋愛の物語を作りたかったのでしょう。
なぜかは知りませんが。
2006年完成。