かつてムジャキな子供だった人達への童話8(2020年6月出版)

おばけ屋敷

 ある夏の日のこと。

 駅前のデパートの屋上に、おばけ屋敷がオープンしました。

 ここのおばけ屋敷は、とても怖いので有名です。

 あまりの怖さに、見終わった人たちは体を震わせながら、しばらく泣き続けるほどです。

 でも、怖いはずです。実は、本物のおばけがアルバイトをして働いているのですから。

「さてと、今日もがんばって、たくさんの人間を怖がらせてやるぞ」

 すると、そこへ5歳くらいの男の子がペロペロキャンディーをなめながら現れて……。


 これは、もう完全に時々き無性に書きたくなるフザケて書いた作品。

 こういう作品は頭をひねらず、考えず、とにかく楽しみながら微笑みながら書きます。

 内容は二の次。

 矛盾店があっても気にしない。気にしない。

 昔はこういうのを結構書いてたな、って改めて思います。

 最近こういうの書いてないなあ。

 今度また書きたいなあ。 

 2002年作。

いま何時?

 平和な森がありました。

 いろんな動物たちが、なかよく暮らす森です。

 みんなが笑顔で、みんなが支え合う。

 そんな森です。

 森の真ん中には広場があって、大きな時計がありました。

 森にあるたった一つの時計です。

 みんな、この時計を見て、食事をしたり、仕事に出かけたりします。

 ところが、突然その時計が動かなくなってしまいました。

 森の動物たちは、時間がわからなくなって、大あわて。

 たったひとりを除いては……。


 普段あまり時間に追われるような日々を送っていないせいか、腕時計も持っていないボクちゃん。

 いや、正確に言うと、探せば部屋中のどこかにあると思いますが。

 時間に関するものは、以前「かつてムジャキな子供だった人達への童話6」の中の「時間」という作品がありました。た

 それよりは、こっちはやっぱりフザケたかな?

 作品に出てくるブタのブースケ、羨ましいです(?)。

 2010年作。

大金持ちの子供達のいたずら

 タダシとコウタとヨウヘイは、同じ小学校に通う同級生。しかも、大金持ち。

 今日は特に大金持ちのタダシの家でゲームをして遊んでいましたが、それにもすっかり飽きてしまいました。

 それから3人は、タダシの提案でカケを始めました。

 街の並木道を歩いている1人の男の子の前に1万円を落として、それを自分のポケットに入れるかどうか。

 すると、その男の子は予想に反して……。


 ここに登場するヨシオくん。

 人懐こくて、誰の悪口も言わず、いつも笑顔の少年。

 そして、最後はやはりどんな人もその人柄に包み込まれていく。

 そんな人がたくさんいるといいですね。

 そうなりたいなあ。

 2010年作。

ピンクのかすみ草

 かすみ草が赤いスイートピーに恋をしました。

 スイートピーはいろいろな花が咲いている丘の上に、一輪だけ咲いています。

 丘に通じる道端にひっそりと咲くかすみ草は、いつも丘を見上げては、「きれいだな」、「可愛いな」と思いました。

 赤いスイートピーはみんなの憧れの的。

 かすみ草はスイートピーのことを想えば想うほど、切なくて辛くて、苦しくなるばかり。

 やがて、訪れた幸せ。

 そして、辛い別れ……。


 少し悲劇的な愛のお話。

 でも、最後は……。

 この作品は何度も書き直しては、いろんな賞に応募していましたが、ことごとく落選。

 でも、読み直してみると、やっぱりいい話です。

 書いた時期ははっきりわかりません。

 多分この頃か、もしかしたらもっと古いか。

 さて、どうだろう。

 1997(?)年作。