太陽が照りつける夏真っ盛り。
某デパートの屋上に、シルクハットを被った男の子の氷の像が立っています。
実はこの像は、元は人間で、半年前に交通事故で死んでしまいましたが、神様にお願いして氷の像となったのです。
10年前に離れ離れになった大好きな女の子との約束を果たすために……。
この作品は、氷の像となってでも、初恋の少女との約束を果たそうとする一途な男のお話です。
太陽はそんな氷の像に苦言を呈しますが、それでも信じて待っています。渡そうとする指輪を大切に持って。
しかし、そこを訪れたのは待ちに待った女性とその傍には1人の男性の姿が……。
男にとっては、なんともほろ苦い物語です。
2009年完成。
父ちゃんは元プロ野球のピッチャー。
でも、僕が3歳の時、肩をケガして辞めてしまった。
以来、野球が嫌いになった。
僕が「野球をしたい」と言った時も、「野球をしても、何の役にも立たないぞ」、「野球なんて、つまらん」と言っていた。
でも、新品のグローブとバットを買ってくれた。
そして、僕のせいで試合に負けた時も突然現れて、キャッチボールをしてくれた。
やがて、月日が流れて……。
子供の頃、よく空き地で野球をしていた世代にとって、キャッチボールはいろんなエピソードがあると思います。
父と子のキャッチボール。
友達とのキャッチボール。
本来この作品は、少年の話で終わっていましたが、大人になってからのことは出版時に付け加えました。
かなり迷いましたが、それによって物語の幅が広がったと思います。というか、そう言い聞かせています、ハイ。
1996年頃?の作品。
1人の中年の写真家がいました。主にグラビア写真を撮っていて腕はいいのですが、不精ヒゲで無口。その上、眼光が鋭く人見知り。
1人の若い女優がいました。清楚で品のある顔立ちをして、性格も真面目で素直で明るく、努力家。誰からも慕われていました。
そんな対照的な性格の2人がなぜか惹かれ合い、お互いに好きとは言えず、それでも離れることもできなくて……。
嬉しい時も。
辛い時も。
そして、最期も。
写真家と女優。
レンズを通して結びついた大人の男女の物語です。
好きとか嫌いとか、一緒になるとかならないとか、もうそういうのを超えて、お互いに心が結びついている。
そんなお話です。
2001年完成。