美央は27歳。父親のDVの家庭で育ち、それから逃れるために、高校卒業後に上京した。
現在街金で働きながら、時々キャバクラでアルバイトしている。
彼氏はズィー。キャバクラの客として来店した時に知り合った。
本当の名前も職業も知らないが、首筋にZの入れ墨をしているので、そう呼んでいる。
出会ったその日にホテルに行き、その猟奇的で官能的なセックスに溺れた。
そして、男が美央の右肩に髑髏の墨を入れることを許した。
「また墨を入れようぜ」
それから2ヶ月後、男は再び美央にそう迫り、刺青の絵柄を探すために、ギラギラした目でTATTOの専門誌を捲った。
そして、雑誌の中に黒と黄色のグロテスクな女郎蜘蛛のシールを見つけると、それを美央の左肩に貼り、その部分を満足そうに舐め回した。
ところが、その夜、美央の体に激痛が走った。あまりの痛みに、自ら包丁を左肩に突き刺そうとするほどだった。
その後、近隣では謎の怪奇事件が頻発して起こった。
そして、ズィーまでも美央の前から忽然として姿を消した……。
この作品は自分でも珍しいホラー小説ですね。
しかも、内容がエロい。
これまた珍しい。
今までも、このようなジャンルは数編しか書いたことがありません。
まっ、たまにはこういうのも出版していいかしら。
でも、最後まで読んでいただけるとわかりますが、本当は愛のお話です。
大正時代流行った「エロ・グロ・ナンセンス」ほどではないですがね。
2006年作。