学校や家庭で悩みを抱えている小学校6年生のマコトは、ある日、近所の大型デパートの屋上にやってきました。
そこは、以前まだ両親が仲良かった頃、よく訪れた思い出の場所でした。
そして、3時間後、屋上ではこの道50年以上のベテランのマジシャンであるビックリかの助のマジックショーが行われました。
かの助さんの得意なマジックは、黒いマントでたとえどんなものでも一瞬で消せるというもの。
そして、かの助はマコトを壇上に招き入れると、観客の前で消してみせました。
客席は歓声と拍手に包まれました。
マジックは大成功です。
ところが、かの助さんは突然心臓を押えてその場にうずくまり、そのまま意識を失いました。
気が付くと、マコトは真っ暗な世界にいました。
そして、不安と恐怖に押し潰されそうになったマコトは、ひたすら走って走り続けました。
すると、広い広い野原に出て、そこで二本足で立って普通にしゃべる、人懐こい動物たちと知り合いました。
そして、「ここはどこですか?」とのマコトの問いに、動物たちは一斉に大きな声で答えました。
ここは、ボクたちみんなの「ともだち王国」!
やがて、芽生えていくマコトと動物たちとの友情。
明かされるかの助さんと動物たちとの絆。
明かされる真実。
大切な約束。
そして、やがて訪れる別れの時。
「ともだち王国」での日々が一人の少年を、大きく強く成長させました。
今回は、マジックで別世界に行ってしまった少年と動物たちとのお話です。
マジシャンが高齢で持病を抱え、物忘れがひどくなっているというのが物語のミソ。
そして、伝書バトの使命とマコトとの交流。
最後は、伝書バトに代わってマコトがその仕事を果たすわけですが、結構、というかかなりいい話、というか感動的な話になっています。
自分で言うのもなんですが。
さて、考えてみると、自分自身の作品は「ピアノ」だったり、「絵描き」だったり、「手品」が多いように思います。
実を言うと、全部自分の苦手なものばかり。
だから、なおさらそういう話を書きたくなるのでしょう。
多分。
きっと。
ちなみにこの作品は、今年3月に書き上げたものです。