ボクは現実から逃げた。
現実に背を向けるなんて、最低の人間だ。その先は人の視線に気を病んで、悔いて自暴自棄になり、堕ちていくしかない。
そんなこと、わかっているはずなのに、ボクは現実から逃げた。
あおいの妊娠。
シナリオライターになる夢の挫折。
ボクはその全てから逃げた。
ある夜、ボクは公園でホームレスのおっさんと出会った。
そして、一緒に暮らすようになって……。
これは、大学生の「ボク」とホームレスのおっさんとの短い交流を描いたお話。
おっさんの切ない過去。
1万円札に書かれた数字の謎。
そして、別れ。
タイトルの「帰ってこい」は、主人公の母親が電話で告げた言葉です。
2008年完成。
ふと気付くと、私は見知らぬ人通りの多い繁華街を歩いていた。
一体ここはどこなのだろうか。
そして、私は誰なのか。
……そうだ、思い出した。
私は死んだんだ……。
それから、この世を満喫していた私だったが、ひょんなことから屋台の喫茶店のマスターをすることになった。
それでも、なぜかコーヒー作りに精通していて……。
死んでから、30年もこの世をさまよい続けていた「私」のお話。
その「私」が大人になった息子と偶然に再会します。
息子とは子供の時に離婚して以来、離れて暮らしていました。
その息子も厳しい現実の中で一生懸命に生きていました……。
2015年完成。