た、たいへんです。
さいきんのこどもには、ゆめがないんだって。
でも、それって……。
もしかして……。
ユメバクさんのせい?
ユメバクさんは、まよなかにこどものへやにしのびこんで、ゆめをたべちゃいます。
こどものゆめは、じゅんすいだから、おいしいんだって。
よし、ユメバクさんをつかまえよう。
つかまえなくちゃ。
ユメバクについてのお話は今まで幾つか書いてきました。
いい意味でもわるい意味でも、愛すべきキャラクターです。
だって、その存在で違った物語が幾つも作れるのですから。
またいつか作りたいですね。
2008年作。
ゆっこは、6つの女の子。
でも、おもいびょうきです。
だから、いつもおへやで一人きり。
とてもたいくつなまい日です。
ゆっこは、せかいのずかんを見るのが大すき。
「早くびょうきがなおって、せかい中をりょこうしてみたいな」
そうつぶやいて、いつもまどの外をぼんやりとながめています。
ある日のことです。
目がさめると、ベランダにピンクのおふとんがほしてありました。
とってもかわいらしくて、ふかふかのおふとんです。
そして、そのよる、エジプトのピラミッドのしゃしんを見ながらそのおふとんでねむったゆっこは、エジプトに行ったゆめを見ました。
その後も、ねむる前に見たしゃしんのばしょに行くゆめをかならず見ました。
これって……。
夢で世界中のいろんな場所に行くことができるおふとん。
なんか、もうドラえもんの世界ですね。
大体の空想が許される。
童話の世界ならではです。
だから、やめられないし、やめるつもりもありません。
2010年作。
ぼくは今日、かくれんぼの名人に出会った。名人は野球帽を深々とかぶって、眼鏡をかけた優しいおじさんだった。
おじさんもかくれんぼをしている最中で、かくれんぼの苦手なぼくを助けてくれた。
それなのに、ぼくのせいでおじさんはオニに見つかっちゃった。
「ううん。坊主のお陰だよ。ありがとな。元気でいい子でいるんだぞ。おじさんみたいに……、おじさんみたいになっちゃいけないよ」
おじさんはそう言って、オニと一緒に去っていった……。
これは子供向けにしては、少しオモいお話。
書いた時も、こうして世に出す時も、少し勇気がいりますよねえ。
内容が内容だけに。
でも、必要だと思って書きましたし、必要だと思って出版するわけです。
それが果たして正しいかどうか……。
ん~。難しいなあ。
2000年作。
こうへいさんは交番に勤めるおまわりさん。気の小さいところもありますが、誰からも好かれる、心優しいおまわりさんです。
そんなこうへいさんでしたが、パトロール中に体が動かなくなって、空き巣ドロボウを取り逃がしてしまいました。
所長さんに怒られ、すっかり落ち込んだこうへいさんに、お母さんは亡くなった元警察官だったお父さんの形見だとして、3本の木くずを渡しました。
それは、『ゆう木 げん木 やる木』という木でした……。
これはもう、私の中では昭和的なお話。
でも、今でも書く作品の中にスマホやパソコンなどが登場しないものがたくさんあるんです。
何か、物語の内容に必要がないというか。
時代遅れですよね。
書いたのは今から約25年前。
納得……。
1998年作。