青空にリボン            (2017年11月出版)

 メガネさんは50代の男性で、わけあって現在高校3年生の娘と2人暮らし。会社をリストラされて、そのことを娘には言えず、毎日スーツ姿のままお昼過ぎに公園に来ては、別に何をする訳でもなく、ただ何となく時間を潰しては夕方過ぎに帰っていきました。

 メタボさんも50代の男性。認知症の母の介護のために仕事を辞め、母が介護施設から戻る夕方まで、やはり公園で時間を潰す毎日を過ごしていました。

 そして、アゴヒゲさん。アゴヒゲさんは60代の男性。放火による火事で自宅兼工務店を全焼して失っただけでなく、長年連れ添った奥さんまで亡くしました。その後、その土地を離れると、ただただ流れ漂い、今は河川敷のテントで暮らしています。

 そんな訳ありな3人のオジサンが偶然公園で知り合い、アゴヒゲさんの提案で大木にツリーハウスを造ることになりました。

 子供の頃にワクワクした気持ちで仲の良い友達と秘密基地を造った時の、あの感動をもう一度味わいたくて。

 やがて、失いかけていたやる気と生き甲斐と自信を取り戻した3人は、ついに念願のツリーハウスを完成させました。

 ところが……。 


 この物語の構想はかなり古いです。

 多分20年前くらい。

 その後、細かな部分が浮かばなかったので、ほったらかしにしていましたが(結構というか、かなりそんなのがあります)、ある人から「オジサンを主人公とした物語が読みたい」と言われて、「ならば」と思い立ち、書いた作品です。

 たまたまアイディアノートを見直したら、いいのを見つけたので。

 昔と違い、スラスラと細かな部分も埋めることが出来ました。

 この作品も「味噌ラーメンでいい?」と同様に、最初はタイトルは別でした。よくありがちなタイトル。で、「表紙、どうしようかなあ」と考えてから、題名を思い付き、作品の中身も少し変えました。

 でも、結果的にはよかったと思っています。

 思い付き、大切です。 

 2016年作。