小学校4年生のしんちゃんは、ママと二人暮らし。
大きな病院で看護師をしているママは、いつも帰りが遅いです。
この日も家に帰り、留守電でママの帰りが遅くなると知ったしんちゃんは、ソファーにランドセルを放り投げると、くつ下を脱ぎ捨てて、テレビをつけました。
テレビがあきると、一人で夕飯を食べて、ゲームをしました。
そして、午後8時を回ったころ、しんちゃんは遊び疲れて、そのままテレビの前で眠ってしまいました。
「しんちゃん、起きて。だめよ、こんなところで眠っちゃ。カゼひくわよ」
午後9時ころ、ママは帰ってきて、しんちゃんを起こしました。
寝ぼけ気味のしんちゃんはママにうながされて、ベッドに入りました。
そして、散らかった部屋はママが片付けるのです。
そんな毎日がくり返されました。
ところが、ママが帰りの遅い夜、いつものように部屋を散らかしてそのまま眠ったしんちゃんですが、次の日の朝、ママが思いがけないことを口にしました。
「しんちゃん、昨日はちゃんと後片付けしてくれたのね。お部屋もきれいにそうじしてくれたし。ありがとね……」
しんちゃんは驚きました。
だって、後片付けなんてしていないのですから。
次の日も、その次の日も同じことが起こりました。
しんちゃんは一体誰が部屋を片付けているのか、確かめることにしました……。
さて、新しいシリーズで。
ここでは、原稿用紙で10枚以上の童話を発表していきたいと思います。
で、最初の作品がこれ。
本当に初期の初期に書いた作品。
当時の気持ちは思い出せませんが、自分自身掃除や片付けが苦手なので生まれた作品かと思います。
話の内容からも、王道の童話ですよね。
今回新しいシリーズを始めるにいたり、何となくこれが最初の作品にふさわしいように思いました。
1997年(?)作。
ボクにはお兄ちゃんがいる。ボクより3歳年上で、小学校6年生。とっても優しくて、大好きなお兄ちゃん。
でも、今は離れ離れに暮らしている。
田舎で養蜂場を営むおじいちゃんが病気で倒れ、お父さんがおじいちゃんの跡を継ぐために、お兄ちゃんと引っ越したんだ。
そして、ボクはお母さんと二人暮らし。
お父さんとお母さんは別居状態。すっかり仲も悪くなった。
そんなある日、お兄ちゃんから大きな袋が届いた。
袋の中には、はちみつが入ったビン、野菜、お兄ちゃんからの手紙。そして、間違って入ってしまったのだろう、弱々しいみつばちがいた。
家族や仲間と離れ離れになったみつばち。
会いたいよね。ボクもお兄ちゃんに会いたい……。
ボクはお母さんに黙って、みつばちと一緒にお兄ちゃんが住む町に行くことにした……。
みつばちって、テレビや動画で見ていると、何となく癒されます。
あの小さな体で、とにかく一生懸命に働く。
そして、家族(仲間)想い。
何か、健気に感じます。
好きですね。
健気って。
だから、天敵のスズメバチを見ると憎たらしく思います。
ま、スズメバチはスズメバチの事情もあるでしょうけど。
でも、みつばちがいないと、世界の食糧事情は大混乱になります。
頑張れ、みつばち。
お願い、頑張って。
2007年作。